食物繊維と納豆(土壌菌)で、腸を元気にする

腸活

近年の遺伝子学の発達とコンピューターの進化により、遺伝子解析により、腸内細菌の種類の特定が可能になりました。その事により、腸内細菌についての理解もこれから急速に進化していくものと期待が膨らみます。

それらの研究の結果、腸内細菌とうまく付き合うことが、健康に結びつくことがわかってきました。

出典「[藤田 紘一郎]最新! 腸内細菌を味方につける30の方法 – 健康・長寿・美容のカギは腸内フローラと腸内細菌! 」

腸内細菌と遺伝子学の進化

私たちの腸には、3万種、1000兆個という数の細菌が住んでいます。重さでいうと約2kgになります。

近年の遺伝子研究とコンピューターの発達により、「16SリボゾームRNA遺伝子」の塩基配列から菌を特定できるようになり、加えて、最近全体の遺伝子を解析できる「メタゲノム解析」により、陽内の細菌叢(さいきんそう)の遺伝子を調べることも可能になっています。

腸内細菌の分類「善玉菌」、「悪玉菌」、「日和見菌」

腸内細菌は、伝統的に、「善玉菌」、「悪玉菌」、「日和見菌」に分類されます。

  • 善玉菌体に良い働きをするもの
  • 悪玉菌体に悪い働きをするもの
  • 日和見菌強いものになびくどっちつかずのもの

近年の研究により、善玉菌と呼ばれる菌だけが体に必要な訳では無く、悪玉菌や日和見菌もとても大切な役割を持っていることがわかっています。

あなたの腸内細菌組成は、あなただけのもの

アメリカでは、2007年から、総費用1億5000ドル以上と5年間の歳月をかけ、米国国立研究所が、「人・マイクロバイオーム・プロジェクト」を実施しました。

その研究結果の中から、あなたの腸内細菌は、世界中であなたの腸内だけにしか見られない唯一無二のものであることがわかっています。腸内細菌叢の組成は、一卵性双生児や親子であっても、両者の類似性はさほど高くないことがわかっています。つまり、うんこから、あなたを同定できる可能性を持っています。

赤ちゃんのときに腸内細菌叢の組成が決まる

母親の体内では、胎児は、無菌の状態が保たれています。

生まれてから、1年の間に、腸内細菌叢の組成が決定づけられます。赤ちゃんがなんでもなめたがるのは、多種多様な細菌を取り込んで、立派な腸内細菌叢を作ろうという本能です。

パンダの赤ちゃんも同じです。パンダの餌は、硬い笹の歯です。しかし、パンダは、これを消化する酵素を持っていません。腸内細菌がその酵素を作ってくれるのです。パンダの赤ちゃんも生まれるとすぐ、母親の便をなめ、菌を取り入れます。

人間の赤ちゃんは、母親の便を舐めさせませんが、自分の手足や母親の肌をなめて、大量の細菌を取得します。

免疫力のおよそ70%は腸が作る

免疫の主な働きは、次の3つです。

  • 感染からの防衛
  • 健康の維持と増進
  • 老化と病気の予防

腸が、人体の免疫の大半を担うのは、病原体が腸から侵入するためです。口から入ったものは、食道と胃を通り抜けて腸にたどり着き、そこで消化された後に吸収されます。その際に、病原体の多くも腸から体内に入り込みます。

腸の上皮細胞の表面には、粘液があります。この粘液には、消化された栄養素に紛れて病原体が侵入しないように殺菌物質やウイルスを不活性化する物質が含まれています。また、「IgA抗体」も大量に含まれています。抗体とは、特定の非自己物質にくっついて、異物を排除する分子のことです。

腸内細菌の状態は、日々の生活によって変化する

腸内細菌叢の組成は、生後1ヶ月で決まってしまいますが、腸内細菌叢の状態は、日々の生活の仕方で変化します。

人体だけで独立して行える生命活動は極めて少なく、腸内細菌を含め、身体各所に存在する細菌叢との関わりに大きく依存していることがわかってきています。

腸に入ってきた食物を体が吸収できるように分解しているのは、腸内細菌です。

うんこの成分は、水分 60%、腸内細菌とその死骸 20%、腸内膜細胞の死骸 15%、食べかす5%。

腸内の免疫機能は、腸内細菌の共同作業で行われます。病原体の多くは腸から体内に入り込みます。感染症を防ぐ最大の防波堤は腸です。腸内細菌は、縄張り争いをしながら腸の中に自分の生息場所を守っています。外から、新たな細胞が侵入してくると、一斉に攻撃して排除に働きます。腸内細菌は、腸にいる免疫細胞を活性化する力もあります。

この働きのため、腸内フローラの状態が悪化すると、さまざまな病気が起きてしまいます。

風邪や直中毒などの感染症だけでなく、ガンや動脈硬化症、認知症、アレルギー疾患、潰瘍性大腸炎、うつ病など。

きれいに洗いすぎると肌が荒れる

腸の話からは、離れますが、菌つながりで、皮膚の常在菌の話です。

皮膚には、皮膚常在菌と呼ばれる細菌群が住んでいます。皮膚常在菌とは、人間の皮膚にすみつき、皮膚の脂肪を食べている細菌です。細菌が、皮膚の脂肪を食べると脂肪酸の膜が作られます。この脂肪酸は、弱酸性であり、そのバリアが人の皮膚に病原菌がくっつくのを防ぎます。

肌をきれいに保ちたいのであれば、石鹸で洗いすぎないことです。

石鹸で洗うと、皮膚にいる菌のうちおよそ9割が取れてしまいます。しかし、1割の菌が残っていれば、12時間後には、もとの状態に戻ります。石鹸で洗いすぎてしまうと、菌が根こそぎ取れてしまいもとに戻るのに長い時間がかかります。その間、脂肪酸のバリアは、作られないので、肌は、病原菌に対して無力になり、肌荒れしやすくなります。

皮膚科では、よく、「石鹸でしっかり洗うのはやめてください」って言われるのは、これが理由なのでしょうか。

菌活と腸活

外から侵入した最近の多くは、もともといる常在菌や免疫システムに撃退され生き残れません。

腸には、約1000兆個の最近がいます。その大半は、もともと身の回りや食べ物に生息していた菌です。乳児期を過ぎて外から侵入した菌は、酸性の強い胃を生きて通過することが難しく、生きて町に届いたとしても、腸に住み着くことができません。

たくさんの菌が腸に侵入し、死んでしまった菌を栄養として、常在菌は、数を増やし、活動力を高めます。

体に良い菌を食生活に取り入れるのが、菌活、腸内環境を整える生活を腸活と呼びます。菌活も腸活も腸内フローラを活性化するという目的は同じです。

腸内の菌種

  • フィルミクテス門(日和見菌)
  • バクチロイデス門(日和見菌)
  • アクチノバクテリア門(善玉菌)
  • プロテオバクテリア門(悪玉菌)

日和見菌を味方につけろ

以前は、乳酸菌やビフィズス菌など、いわゆる善玉菌ばかりが重視される傾向がありました。しかし、腸内フローラのほとんどは日和見菌です。つまり、腸内フローラーの最大勢力は、日和見菌です。

日和見菌は、腸内環境が善玉菌優位の状態のときは、善玉菌の味方をし、悪玉菌優位のときは、悪玉菌の味方をします。そのため、日和見菌をどのように働かせるかが、腸内環境を改善する重要なポイントです。

日和見菌の多くは、土壌菌です。

納豆菌は日和見菌に有効に働く

大豆を発行させる納豆菌という土壌菌の仲間です。枯草菌は、硬い殻を持つため、胃酸に強く、生きて腸まで届きます。腸に届くと殻を破って、働きます。

納豆の健康効果は、いろいろな研究によって明らかにされています。

納豆には、日和見菌を増やして、腸内フローラの活動力を高める働きがあります。また、現在では、土壌菌をカプセルに入れたサプリメントも販売されています。

食物繊維で日和見菌の活性化

日和見菌の中のバクチロイデス門は、食物繊維やオリゴ糖を分解し、短鎖脂肪酸を作り出します。短鎖脂肪酸は、炭素数が6以下の脂肪酸のことで、バクチロイデス門は、食物繊維やオリゴ糖から、酢酸、酪酸、カプロン酸の3つの物質を作り出します。

腸内で、短鎖脂肪酸は、腸内を酸性に保ち有害な菌が繁殖するのを抑えます。そして、大腸の粘膜を刺激して、蠕動運動を促します。蠕動運動がしっかり行われている腸では、腸内細菌の餌が得られやすいので、腸内フローラの働きが良くなり、免疫細胞も活性化します。蠕動運動が活発になれば、便秘になりにくくなります。

短鎖脂肪酸の一部は、大腸から吸収され、血液を通して全身に運ばれ、筋肉や肝臓、腎臓などの組織を活性化するために使用されます。

食物繊維を分解する過程で、水素を発生することもわかっています。この水素は、体内で発生した活性酸素を無毒化していると考えられています。

「おでぶ菌」って何?

日和見菌の中のバクチロイデス門が、どちらかといえば良い働きをするのに対して、フェルミティクス門は、悪玉菌に加担しやすい性質を持ちます。

フェルミティクス門とバクチロイデス門の細菌群は、どちらかが増えれば、どちらかが減るトレードオフの関係にあります。どちらの細菌群が優勢になるかは、宿主の食事内容によるところが大きくなります。低食物繊維・高カロリー食に偏ると、フェルミティクス門の細菌が優勢になります。

従来の栄養学的な考えでは、エネルギー摂取量の多い人が太り、少ない人が痩せるとされています。しかし、少ししか食べなくても太る人、たくさん食べても太らない人がいます。

腸内細菌のうちフェルミティクス門は、太った人の腸内では割合が多くバクチロイデス門の細菌は、痩せた人の腸内で割合が多く存在します。この腸内の細菌群の割合の違いが、体型に影響を及ぼしていることがわかってきました。体型は、エネルギー摂取量の違いではなく、腸内フローラの違いで有ることがわかってきました。

バクチロイデス門の細菌が、食物繊維を分解するのが得意な一方、フェルミティクス門の細菌は、糖質や油脂からエネルギーを効率的に摂取することを得意としています。

このことから、フェルミティクス門の細菌を「おでぶ菌」と呼び肥満予防を喚起する取り組みがあります。

高糖質、高脂肪、低食物繊維の食事をしているとバクチロイデス門の細菌群が増え、反対に、低糖質、低脂肪、高食物繊維の食事を増やすとフェルミティクス門の細菌群が増えます。このことから、腸内細菌から見た場合、痩せるためには、低糖質、低脂肪、高食物繊維の食事を増やすことが重要になります。

2006年、ワシントン大学のJ.ゴートン教授は、太ったマウスから摂取した腸内細菌を別のマウスに植え付けたところ、普通の体型のマウスから細胞を植え付けた場合に比べて、同じ量の餌を与えても太りやすいことを発見した。

肥満な人ほどガンになりやすい?

日和見菌のフェルミティクス門の細菌の一つ「アリケア菌」は、人を肥満にするだけでなく、ガンを誘発することがわかりました。肥満になるとガンになりやすいという因果関係は、腸内細菌がもたらしています。

肝臓がんの発症にもフェルミティクス門の細菌が関与しているという研究結果もあるそうです。フェルミティクス門の細菌は、腸内で異常繁殖すると、消化液である胆汁を細胞の老化を促す物質に変えます。この老化物質が肝臓に送られると、肝臓液が老化し、発がんを促すタンパク質を撒き散らします。

異常繁殖しなければ、悪玉菌は悪さをしない?

腸内環境悪化させる細菌に、悪玉菌と呼ばれる菌群があります。

代表的な悪玉菌

  • 大腸菌
  • ウェルシュ菌
  • ブドウ球菌
  • レンサ球菌

悪玉菌が腸内で異常に増えてしまうと、腸内の内容物が腐敗して、硫化水素やアンモニアなどの腐敗物質を作り出します。悪玉菌に属する菌が、悪さをするのは、異常繁殖したときだけです。悪玉菌の異常繁殖を防ぐためには、水溶性の食物繊維を積極的に食べることです。

水溶性の食物繊維が豊富に含まれる食品

  • わかめ
  • 昆布
  • もずく
  • めかぶ
  • ごぼう
  • キャベツ
  • オクラ
  • モロヘイヤ
  • かぼちゃ
  • 納豆
  • きなこ
  • アボガド
  • バナナ

免疫細胞の鍵「マクロファージ」

私たちの体を守っている免疫細胞には「自然免疫」と「獲得免疫」があります。自然免疫は、病気に対する最初の防衛です。自然免疫で、防ぎきれないものが出てくると獲得免疫が働きます。

自然免疫の中心となるのが「マクロファージ」です。マクロファージは、アメーバーのような形をした大型の細胞です。病原体などの外敵を見つけると捕食します。捕食したものの中から異物の情報を獲得免疫の中心となるT細胞と呼ばれる免疫細胞に情報を伝えます。

この働きから、マクロファージは「大食細胞」や「抗原情報伝達細胞」と呼ばれます。マクロファージは、外敵だけでなく酸化によって劣化した細胞やタンパク質、糖質なども除去します。

病気を防ぎ、若々しく生きるためには、マクロファージが活発に働いていることが大切です。

土壌菌がマクロファージを活発にする

植物と土壌菌は、共生関係にあり、土で育つ野菜や穀物、果物には、土壌菌が付いています。納豆菌も土壌菌の一種です。生野菜を食べれば、土壌菌を生のまま摂取できます。加熱調理すれば、土壌菌は死にますが、土壌菌の構成成分を摂取できます。

マクロファージと土壌菌の関係は、香川大学医学部の客員教授 杣源一郎氏によって、研究されています。土壌菌の細胞壁に、「LPS(リポポリサッカライド)」が含まれており、マクロファージがこれを取り込むと動きが活発化することが見つかりました。

「病」になる人、ならない人を分けるもの ~新発見! 免疫をパワーアップさせる夢の物質「LPS」~ (ワニプラス)

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