脂肪肝対策には、脂肪を燃焼させるためのノウハウがいっぱい
脂肪肝対策には、脂肪を燃焼させるためのノウハウがいっぱい詰まっています。スタミナ向上、脂肪燃焼のために、筋トレを行ったあと、ウォーキングなどの軽い有酸素運動が効果的です。
肝機能の状態を知る血液検査の3つの数字
AST(GOT) | 30 Ul 以下 |
ALT(GPT) | 30 Ul 以下 |
γ-GT(γ-GTP) | 30 Ul 以下 |
この3つの数字が正常だからといって、安心できないことがわかってきた。
隠れ脂肪肝
20~70歳の血液検査で問題がない人50人を調べた結果、14/50人(28%)に、異常(隠れ脂肪肝)が見つかった。
フィブロスキャンで検査:隠れ脂肪肝を見つける肝臓専門の検査機器(日本で、100台ほと)
- 240[dB/m]以上で、脂肪肝(肝臓の細胞5%以上に脂肪が蓄積した状態)
- 300[dB/m]以上は、肝臓の細胞の66%以上に脂肪が蓄積された状態
仕組み:超音波で、肝臓の状態を測定
- 肝臓に脂肪があると、反射で伝わる信号が小さくなる
脂肪肝
脂肪肝とは、肝臓の中に、中性脂肪の塊がたくさんできた状態のことです。脂肪肝は、進行すると、肝硬変、肝臓がんに進行する事がありキケンです。
- 脂肪肝は、他の臓器のがん、心臓病、認知症、脳卒中、糖尿病のキケンを高める。
- 肝臓は、再生能力が高いぞきであるので、脂肪肝のうちに対策を取ることが大切。
- 脂肪肝のうちに対策すれば、健康な肝臓を取り戻せる
リスク低 5点以下 | リスク中 6~7点 | リスク大 8点以上 |
夜食を食べる?(寝る前2時間以内の食事も含む)
- 毎日食べる(3点)
- ときどき食べる(2点)
- 食べない(0点)
通勤や買い物などの移動に車を使う?
- ほとんど車(2点)
- ときどき車(1点)
- つかわない(0点)
ジュースなどの甘い飲み物を飲む?
- 毎日飲む(3点)
- 週に一回飲む(2点)
- ほとんど飲まない(0点)
20歳のときと比べて、10kg以上太った?
- 太った(2点)
- 太ってない(0点)
タンパク質が多く含まれる食品を食べていますか?
- ほとんど食べない(2点)
- あまり食べない(1点)
- よく食べる(0点)
平均の睡眠時間は?
- 6時間未満(1点)
- 6時間以上(0点)
多量のお酒を飲む頻度は?
- ほぼ毎日(8点)
- 週3回程度(3点)
- 週1回(2点)
- 多量には飲まない(0点)
多量のお酒の目安
- 日本酒 3合
- ビール 1500 ml
- ワイン ボトル 1本
- 焼酎 300 ml
※ビール1日500mlまででは、脂肪肝になる心配は、ほぼない。アルコールの摂取量を減らすことが大切。
脂肪肝になる仕組み
アルコールを摂取しない場合の脂肪肝になる仕組み
肝臓には、食事で摂取した糖や脂質を中性脂肪に変えて、蓄える働きと、それを体で使うエネルギーに変える働きがある。
食べ過ぎや運動不足などで、入ってくる糖や脂質が、使うエネルギーを上回ると、中性脂肪がどんどんたまる。結果として、脂肪肝になる。
アルコールを摂取した場合の脂肪肝になる仕組み
アルコールを摂取すると、肝臓がアルコールの分解に手一杯になって、中性脂肪の分解が滞り、中性脂肪が貯まる。
お酒の影響は、非常に大きい。中性脂肪を貯め込むことにつながる以外に、アルコールの毒素が直接肝臓にダメージを与える。特に大量飲酒を毎日繰り返すとまず間違いなく脂肪肝になる。
隠れ脂肪肝は、なぜ、血液検査の肝機能の数値に表れないのか?
血液検査の肝機能の数値は、肝臓の状態を直接観察するのではなく、肝細胞へのダメージを観察している。脂肪肝の段階では、肝臓のダメージが少ないので、肝機能の数値が上昇しないことがある。
血液検査の肝機能の数値が上昇しないまま、肝硬変や肝臓がんになる人が増加していることが若手いる。
脂肪肝を放置すると
隠れ脂肪肝は、肝臓の脂肪の量が多いとエコー検査で見つかる事がある。(30%以上で検出可能)
放置すると気が付かないうちに、肝硬変に変化する。
肝硬変になるメカニズム
- 肝臓の細胞に、中性脂肪が過剰に貯まると、肝臓の細胞は死んでいく。
- 死んだ細胞を埋める硬い組織ができる。
- 硬い組織が肝臓全体に広がると肝硬変と呼ばれる。
- 肝硬変になると、栄養素の代謝や毒素の分解もできず、命にかかわることもある。
脂肪肝の状態は、肝硬変になりやすく、肝臓だけでなく、他の臓器ににもガンが出やすい。
肝硬変になると、血が止まりにくくなる。
脂肪肝は、肝臓がんのリスクを高めるだけでなく、肝臓以外のがんのリスクも高める
2万人の患者を20年に渡り調査
健康な人に比べ、多くの人で、ガンの発生率が高くなることがわかった。
特に、胃がん、膵臓がん、肺がんでは、顕著
- 胃がん 3.5倍
- 膵臓がん 2.7倍
- 肺がん 2倍
脂肪肝で死んだ細胞をマクロファージが、取り除く際に、「異物があるぞ、集まれ!」という信号を発する。
受け取った細胞が、「集まれ!」の部分に気が付かず、「異物があるぞ」という部分にだけ反応することがある。その結果、周囲の正常な細胞を破壊する。
これが繰り返されると、いろいろなところで、がん細胞が発生しやすくなる。ガンの他にも、心筋梗塞、脳卒中、アルツハイマー病になりやすくなる。
日本人を始め、アジア人は、肝臓に脂肪を蓄えやすい遺伝子を持っている場合が多い。家族に、肝硬変の人がいる場合は、要注意。
非アルコール性隠れ脂肪肝 判定指標 FIB-4 index
非アルコール性隠れ脂肪肝の患者が肝硬変に近づいているかの指標
FIB-4 index
AST[IU/L]×年齢[歳]
血小板数[万/μL]×10×√ALT[IU/L]
1.3未満 経過観察 | 1.3以上 肝臓専門医で詳しい調査 | 2.67以上 4~8割が肝硬変または肝硬変に近い状態まで進行の可能性 |
出典 角田圭雄ほか、肝胆膵2018年12月号(一部改変)
FIB-4 index計算サイトのご案内(EAファーマ 提供)(医療従事者向け)
隠れ脂肪肝対策法
運動
- スクワット 10回 1日1セット ※負荷をかけるためにゆっくりおこなう
- ウォーキング 15分 早めに歩いたほうが効果あり
監修 久留米大学 川口巧講師
筋トレ + 有酸素運動の組み合わせが大切
- スクワットなどの筋トレを行うと、「脂肪をエネルギーに変えろ!」というメッセージが筋肉から全身に送られます。
- メッセージを受け取った肝臓では、中性脂肪をエネルギーに変えるスイッチが入ります。
- 一旦スイッチが入れば、ウォーキングなどの軽い有酸素運動でもこの反応は持続すると考えられています。
そのため、筋トレと有酸素運動の組み合わせが大切なのです。
筋トレは、スクワットの他に、腕立て伏せ、腹筋、ダンベルなどでもよい。太ももは、筋肉が多いので、スクワットは効率が良い。
脂肪肝改善が、期待される食品
脂肪肝の改善は、肝臓内の脂肪を消費することです。食品の中でも肝臓内の脂肪を消費する助けになると考えられている成分が知られています。
大豆
大豆に含まれるタンパク質(β-コングリシニン)に、脂肪肝を改善する効果があることが発見された。
東京大学 佐藤隆一郎 教授
中性脂肪が溜まりやすい、高脂肪の餌に、大豆タンパク質を混ぜて与えたマウスと、高脂肪の餌に、乳タンパク質を混ぜて与えたマウスを比較したところ、肝臓の中性脂肪量が、大豆タンパク質を与えたマウスが、30mg/gに対して、乳タンパク質を与えたマウスが、110 mg/gであった。大豆タンパク質を与えたマウスの肝臓の中性脂肪量が、乳タンパク質を与えたマウスの約27%であった。
出典 Ryuichro Sato et al. Scientific Reports, 6, 28183(2016)
詳しい仕組みの解明は、これからですが、大豆タンパク質を与えたマウスの肝臓からは、エネルギーが足りないというメッセージが、脳に向かってたくさん出されていたことがわかりました。
このメッセージを受け取った脳は、肝臓に向かって、エネルギーを作れというメッセージを送り、その結果、肝臓で中性脂肪がエネルギーに変えられたということです。
(人間での効果は研究中です)
大豆タンパク質を積極的に摂取することが、脂肪肝の予防に寄与するとおおいに期待されています。
コーヒー
コーヒーに含まれるカフェイン
カフェインが、肝臓に蓄積する脂質を減らす
出典 Zheng et al. Journal of Biomedical Scence (2015)22:105
コーヒーを1日3杯飲む人は、そうでない人に比べて、肝脂肪のリスクが、約1割低下する
※過剰摂取による害も報告されています。飲み過ぎは注意してください。
調理例
- 豆腐ハンバーグ
- おから
- 大豆の炊き込みご飯
- コーヒーを豆乳と混ぜて飲む
など
視聴者からの質問
ダイエットのリスク 痩せた後にリバウンドが発生した場合
急激なダイエットをすると、脂肪だけでなく、筋肉まで減ってしまう。筋肉は、脂肪を消費する能力が高い、また、脂肪の消費を促す物質を分泌しているので、筋肉が減ることで、体が、脂肪を消費する能力(基礎代謝)が低下し、痩せにくい体になる。
糖質制限ダイエットは、脂肪肝対策になるか?
賛否は、ありますが、糖質を過剰に摂取している方は、糖質を抑えたほうがよいと思われます。しかし、糖質を控えすぎると、不整脈がきるなど多臓器に悪影響があるので、過剰な糖質制限はよくありません。
子供が甘いものが大好きです。子供も脂肪肝になりますか?
子供の脂肪肝も増えています。子供も気をつけたほうがよい。
更年期を迎え、食べる量は以前より減っているのに、体重は増えます。脂肪肝のリスクは?
女性ホルモンは、血液中の脂質も下げ、内臓脂肪も減らす作用があります。更年期になり、女性ホルモンが減ってくると、脂質も上がり、脂肪肝にもなりやすくなるため、更年期の世代の方は特に気をつける必要がある。
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